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メッセージ

「喜ばれることに喜びを」の
根底にあるもの

巣鴨信用金庫は1922年(大正11年)の創業以来、一度も合併することなく、2022年に創業100周年を迎えました。私たちがここまで存続できたのは、ひとえに数ある金融機関の中から当金庫を選んでくださったお客さまと地域の皆さまのおかげと深く感謝しております。
現在、巣鴨信用金庫で働くことに興味を持っていただいている皆さんに、この文章を通し、100年で築き上げてきた私たちの企業文化についてお伝えしたいと思います。

巣鴨信用金庫のモットーである「喜ばれることに喜びを」は、「お客さまに対する温かいメッセージ」として、見た瞬間に「これだ」と共感してくださる方も多くいらっしゃいます。
しかし、一方でこのモットーは、私たち職員に対しては、自己を律するための非常に厳しいメッセージでもあるのです。
「喜ばれることに喜びを」というモットーの根底にあるのは、「ものには順序がある」ということと、「立場をわきまえる」ということです。
「ものには順序がある」──ここで言う「順序」とは、まずは「お客さまに喜んでいただく」ことがなによりも先、ということです。また「立場をわきまえる」とは、主役はあくまでもお客さまで、私たちは目立たない「黒子」として「主役」を支える立場であるのだから、あたかも自分たちが中心役者として舞台の真ん中に立っているかのような錯覚を起こしてはならないということです。
例えば、皆さんも子供の頃、画用紙を貼り合わせて立体的なものを作ったことがあると思います。画用紙を組み立てていくには「のりしろ」が欠かせませんが、でき上がったときに「のりしろ」がはみ出しているようでは良い作品とは言えません。「のりしろ」が全く姿を消していれば出来栄えは綺麗です。これと一緒で、お客さまが事業を立ち上げるには金融機関は欠かせませんが、金融機関は「のりしろ」でなくてはなりません。完成したらさっと身を引く。いつまでも目立たない、恩着せがましくない、さらっとさりげなく…これが巣鴨信用金庫の流儀です。
お客さまには心から喜んでいただけていないのに、自分たちだけが目標達成したことで盛り上がってしまったり、お客さまの経営へのお手伝いなどを「支援」「指導」といった「上から目線」の態度では、とても「黒子」や「のりしろ」とは言えないと思います。私たちは地域の方々によって設立された地域金融機関ですから、常にお客さまに対して感謝の気持ちを持ち、喜んでいただくことが使命なのです。

巣鴨信用金庫の
ホスピタリティ

私たちは2005年に、金融機関として初めて「ホスピタリティ」を掲げ、商標登録しました。一般的には「おもてなし」と訳されることが多いこの言葉ですが、巣鴨信用金庫の考える「ホスピタリティ」とは、「おもてなし」ではなく、「人に対する優しさと思いやりを心根(こころね)に持つこと」です。
つまり、仕事中だけホスピタリティという思いやりのスイッチを入れるような都合よく使い分けをするものではなく、日常生活も含めた広い範囲で、いつ、どんな時も、そして誰に対しても、人としていつも心の奥底に持ち続けているべきものなのです。
例えば、急な雨の日にご来店くださったお客さまがいらっしゃれば、さっとタオルをお渡ししたり、足が不自由なお客さまであれば、ご用件を席までお伺いしたり。そういった自然と内面から湧き上がってくるものなのです。
私たち信用金庫はお客さまの一生にかかわる仕事ですから、そういったホスピタリティこそ、信用金庫で働く人が、本来備えるべきものだと考えています。

感動の連鎖

私の好きな言葉に、「至誠天に通ず」という孟子の言葉があります。「純粋なまごころで誠心誠意行動していれば、いつか必ず認められる」という意味のこの言葉は、巣鴨信用金庫のモットーやホスピタリティにも通ずるものがあります。
ここでいう「行動」とは、金融知識を活かした業務に限りません。誰も見ていなくても、例えば次に使う人のために伝票や書類を補充しておく、綺麗にしておく、そういった優しい気持ちはいつか必ず自分のもとに返ってきて、その感動は周囲に連鎖して伝わっていくのです。
つまり、私たち一人ひとりが「喜ばれることに喜びを」を実践していくことで「感動の連鎖」へとつながるのです。

もちろん、お客さまから心からの「ありがとう」の一言をいただくためには、信用金庫の基本となる「金融業務」でしっかりと価値を提供できることが大前提です。その上で、「お客さまに喜んでもらうためにはどうすればいいか」を突き詰めて考えることが巣鴨信用金庫では求められますので、それが巣鴨信用金庫で働く厳しさでもあり、やりがいだと思います。
金融に関する知識は入庫後でも身に着けられますが、「人としての本質」を変えるのは困難です。自分を犠牲にして、困っている同僚や仲間に自然に手を差し伸べられる方、そして、人の何気ない親切に素直に「ありがとう」と言える感性をお持ちの方と、ぜひ、一緒に働きたいと思っています。